fc2ブログ
2010-08-31(Tue)

掃除したい

大学院受験があったので8月は更新しませんでしたが、また続けようと思います。

受験の結果は合格でありました。とてもうれしく思います。

ここにのせている物語はそのまま続けてのせます。ただ、修正したものものせていきます。

ちょうど五ヶ月前は、国家試験の勉強をやめて就職活動を始めた時でした。

三月に始めた学生は自分くらいだと思う。二次募集、三次募集の会社に蹴られ続け、疲れた時に書いたものがこの物語でした。今読み返すと「う~ん」と思うけど、この作品がある意味で支えになっていたことは間違いない。

過去に書いた長編は全部で五本ですが、この長編は一番時間がかからなかった。実際にノートに書いた時間は一番短かった。だけど、書くまでに考えた時間は一番長かったかもしれない。

今新たに書いているものはこの物語よりずっと物語らしく、成長していると思いますが、それもこの物語があってこそだと思うと、ちょっと愛着がわきます。

新しい物語はのどかな田舎を舞台にしています。都会で生まれ育った人間として田舎に憧れるのは自然なことかもしれない。ただ、それだけでない気がする。

そんな考えをまた別の物語の中で表現できたら、また一つ気持ちが変わると思いました。
スポンサーサイト



2010-07-28(Wed)

第四話 5

 …一方、いずみと田中はステージに立つ梅ちゃんに襲いかかろうとした男が急に消えたことに驚いていた。田中はすべて幻想だったと勝手に納得して首をうなずかせていた。男に蹴飛ばされた客はずっと文句を言っていた。だがほとんどの客は巨大なスピーカーから聞こえる梅のトークに夢中で、発狂した客のことなど考えていなかった。いずみは男のことが気になり田中に手洗いにいくと告げると会場を一度出た。受付の人から警備の人まで大勢のスタッフが動揺しているのがわかった。彼らの中心に一人の女性とさっきの男がいた。
(どうしてここに!)

 …男は息を荒くして言った。
「どいつもこいつも梅ちゃん梅ちゃん…今日は桜ちゃんのコンサートだっていうのに!」
「桜ちゃんのコンサートっていうんで一万人も客がきたんじゃないか!あそこにいる客はみんな桜ちゃんが好きってこと、人気だって証…」
「うるさいっ!お前になにがわかる!?女のくせにアイドルのなにがわかる!?」
 その言い方にアタマにきて、
「男のくせにアイドルのなにがわかるんだ貴様あああ!」
 今一度突き出されたナイフを足で蹴り上げると、もう片方の空いた足を男の脇腹に入れた。男は三メートルほど横に飛ばされて倒れた。騒ぎを嗅ぎつけて駆け寄ってきた私服警官に身柄を渡して男に言った、私は桜ちゃんのファンだ―――。
 周りには十数人のスタッフや警備員がいた。彼らに向って叫んだ。
「聞いてくれ!今のことは誰にも言わないでほしい、もちろん警察にも、事務所にも。この殺人未遂の男は私が処理するからよお!わかった!?」
 男をつかまえている私服警官が不審な顔をして言った。
「ご協力感謝します。ですがそれはできません」
 るりは男を預りたいと言った。
「頼む、言うこと聞いてくれ。ここで警察沙汰になって事が大きくなったら桜ちゃんが悲しむ」
「もう警察沙汰になってますよ。それに、こんな危険な男を野放しにしたらどうなるか、あなたにもわかるだろう?」
 決断を迫られていた。深い息をついて、
「おい」
 腹を痛そうにしている男にたずねた。
「反省してるか?」
 男は狂ったように顔を変形させ、ふてぶてしく言った。
「梅は死ぬべきだ…」
「てめっ!…」
 無意識に足がぴくっと動いた。
 男の忌々しい言葉にその場にいた一人の女性スタッフが、
「ふざけないで!」
 と叫び男に近づくと、るりに代わって男の頬を平手で叩いた。るりはスタッフの腕をつかむと警官に連れていくよううながした。
「事情をおうかがいしたいのであなたにもきてもらいますが、だいじょうぶですか?」
 同意の返事をして、ふと周りを見回すと多くのスタッフが自分に向って頭を下げていた。その中で一人頭を下げていない男がいた。すぐに目をそらし、歩き始めた警官についていった。
 スタジアムを出ようとした時、アイドルの桜と梅が三人のスタッフを連れて走ってやってきた。
「ありがとうございました!」
 警官に捕まえられていた男が突然、
「桜ちゃん!」
 と叫んだので、周りにいた警官が体中を押さえつけて外に連れ出した。桜はるりの手を握って頭を下げた―――。

 …会議室に連れていかれ、しばらくお待ちくださいと言われること十分後、一人のスーツ姿の男がやってきた。川内夏樹というキャリア組の警視だ。
 扉をそっと閉めると、ポケットから小さなガラス瓶を取り出し、白い錠剤をてのひらに出した。それを勢いよく口にひゅいっと入れる。
 ガリカリ、カリ、カリ…。
 歯でつぶしている音が聞こえた。
「なにしにここにきた」
 折りたたみのいすに座っていたせいか尻が少し痛くなっていた。立ち上がって机の上に座って足をいすの上に立てた。
「ひさしぶり、警視殿」
「なにしにきたか聞いてるんだ」
「おめえらがこいつったんだろ、事情聴取とかで。それともなに、今さら用がないってか!?私の活躍をとくとく聞かせてやろうと参ったのによ。っていうか、お前がなにしにきた」
 川内は銀縁の眼鏡をくいっと上げた。
「たまたまだ。やることがないのでもう帰るつもりだ」
「へえ」
「桜というアイドルのコンサートの脅迫事件は耳にしていた。お前が解決したそうだな」
「うん」
「だったら、もういい。事情なんか聞いてもしょうがない。帰れ」
「ちょっと待て!お前、こっちは四万円出したチケット棒に振ってここにきてんだぞ。桜ちゃんのコンサート。ちょっとぐらい聞くことあるだろ!例えば…どんな活躍をしたんですか?みたいな」
「いや、そういうのは興味ない」
「オメーの興味の問題じゃねーよ!警察のやり方聞いてんだこのヤロー!」
「うるさいから帰ってくれ。そんじゃな」
「本当かよ!なんか報奨金みたいなの出ると思ったのに、やっぱ警察だな。コンサート、今頃とっくに終わってるよ!」

 …ホテルに戻るとすでにいずみが帰っていた。
「ただいま。コンサートは楽しかった?」
「楽しかった!」
 いずみの笑顔が咲いていた。
「よかったね」
「ありがとう、るりさん」
 ビール瓶を両手で差し出してきた。
「…気がきくじゃん」


(第四話 終わり)

はい、四話が終わりました。

今新しいものを書いていますが、それも順次のせたいと思います。
2010-07-23(Fri)

第四話 4

 …るりは手洗いにいこうと会場から出てすぐの階段を下りていった。男性用が一階から三階、女性用が一階と二階、それから地下二階にあるが、人気が少なさそうな地下の手洗いを選ぶことにした。階段を下りていくとスタッフらしき人と何度もすれ違ったが、アイドルのたった数時間のコンサートの裏でこうした人たちが働いているのを考えると、るりは不意に顔を優しくさせるのだった。地下一階から二階に下る階段は立ち入り禁止のロープが張ってあったが、るりはポケットに手を入れてロープの下からくぐって下に続く階段に入った。ルールを気にしない性分だった。
(アイドルか…)
 手洗いの近くには人は誰もいなかった。アイドルのコンサートにくる客は男性中心で、しかも今は梅ちゃんのライブ中だ。人がいなくて静かなのは当然だった。
(しかしちょっと疲れたな…)
 あくびをしながら首を回転させて手洗いに入ると、黄色い服を着た女の子が鏡の前でうつむいていた。
(え、ええ…!まさか…)
 なにも言わず通り過ぎようとする。
「うう…スタッフの人!?」
 桜に声をかけられたるりは、桜を見ずに言った。
「えっと…客なんだけど…」
「お客さんがどうしてここに!?」
「ごめん…その…知らなかったっていうか…アイドル専用のお手洗いとはわからなくて」
(なんで私こんな情けない感じになってるの?)
「ううん…」
 鼻をすする音が聞こえたので何気なく桜を見ると、どういうわけかうつむいて泣いていた。
「お、おい…桜ちゃんだよな…どうしたんだよお…」
 あたふたして桜にたずねると、
「私としたことが…すみません。すみません…お客さんの前で…」
(私がアイドル専用だとも知らずに入ったのがまずかったか?いやいや、女が女のトイレに入ってなにが悪いっていうんだ!?そうだ、ここは安心させるために…)
「ま、待ってくれ。どうして泣いているか知らないが、私は怪しいもんじゃない。こう見えて警察の関係者だ」
 警察の人間でないがその関係者であることは事実であった。警察という言葉を出すと桜は急に顔を上げて鼻をすすると、真剣な表情でるりを見た。
「だから決して怪しいもんじゃないって…」
「お願いがあります」

 …るりはコンサートの裏で起こっていることを知った。
 二日前、スタジアムの準備がほとんど終わりかけていた時、桜の事務所に一本の脅迫電話がかかってきた。男の声で今日のコンサートをつぶしてやると。事務所はすぐに警察に連絡をし、当日に私服警官をスタジアムのあちこちに配置することになったが、コンサートが無事に終わるかどうか心配で胸が痛いという。脅迫電話の件はファンにも秘密にしているそうだ。そういう電話があったこと自体が桜と梅、事務所の名を傷つけるからだ。コンサートのために一生懸命歌と踊りを練習してきたという桜は、事件が起こってファンを失うことになったら耐えられないと言った。
「お願いです。どうかこのコンサートを守ってください…あと少しで梅のライブが終わります。私はもう上にいかなくてはいけません」
 るりは一度目を閉じ、再び開いてから頭をうなずかせると急いでライブ会場に戻った。階段を五段跳びで駆け上がり、身分証明書を会場の受付で見せて中に入ると、大勢の客がみんな立って「フォーリンラブ」と叫んでいた。通路を小走りにいくと、途中で歌が終わって客が拍手をして喝采を送り、静まったところでほとんどの客が座り始めた。その中でいずみと友人の二人が立っている姿を見つけた。二人はいずみの隣にいたシャツの男から少し離れ、なにかを言っていた。男は首を振ると座席の上に立ち、大きくジャンプをして一列目の客を足で蹴り飛ばしステージのすぐ下まで走っていった。ほとんど一瞬の出来事だった。
(まさかあいつが!?)
 るりは瞳の中の瞳孔を大きく開いた。景色がしだいに赤く染まり、周囲の時間が止まったように遅くなった。
 音はなくなり、梅も客も動きを止めた。シャツの男もいずみもぴたりと止まっていた。
「人の道を邪魔するやつは…」
 るりはその場から天井高くまで飛び、今にも梅に襲いかかろうとする男のそばに降りると、
「馬に蹴られてくたばれぇええ!」
その重たい体を背負って再び跳躍し、会場の外まで運んだ。
 景色が脱色された。るりの前に寝っ転がっている男は、死ねえ、と叫ぶと、どういうわけか会場の外で倒れている自分の状況に唖然とし、頭をぼりぼりかきむしると起き上がって、手にしていた携帯電話を振り回して中からナイフを出した。
「くそ、どうなってんだ!?ちくしょう!ああっ!」
 そばで立っていた自分にナイフを突き出してくる男に言った。
「ストラップまでつけた携帯電話にナイフ…あんたどういう趣味してるんだ?」
「なんなんだおめえはあ!おれはなあ、あいつが憎くてしょうがないんだよ!」
 勢いよく突いてくる男に冷静に答える。
「あいつって梅ちゃん?」
 電話ナイフをかわしていく。
「今まで桜ちゃんは一人で頑張ってきたんだ!それを、そんな桜ちゃんを利用して、妹っていうだけで簡単にアイドルになったあの女が許せなかったんだよ!桜ちゃんはまだミリオンも出してないっていうのに!」

(つづく)
2010-07-21(Wed)

麻雀

スーアンコウ単騎待ちがきた!

でも上がれなかった…!

超悔しい!

遊ぶのここまでにしてやることやらんと!
2010-07-21(Wed)

第四話 3

 …急にBGMが終わり、あたりが急に真っ暗闇になった。ざわざわした熱い雰囲気もいよいよ高まった。場内アナウンスが響き、五分後、激しいロック調のBGMが流れ始めた。
(曲も客も熱いな。ていうか気温も熱い…もう少し薄手にしておけばよかった)
 いずみの横のいる若い青年が片手に持っているうちわを見た。
(桜ちゃんのうちわ…)
 ステージにライトが当たり、桜ちゃんが下から現れた。るりはサングラスを外した。
 ひまわりをイメージした黄色のシャツと茶色のスカート姿でマイクを持ちながらステージの端から端を往復し始めた。
『みんな~ありがとうきびだんご四兄弟~!』
 るりはステージといずみを交互にうかがった。いずみはただ笑っているだけで口笛をピイとふいたり独り言を言っていたりしているわけでない。常識的な姿勢でコンサートに臨んでいるだけだ。常識的でない客はいずみの隣の若い男と、るりの隣の眼鏡をかけた男だった。彼らは会場の歓声があることをいいことに「桜ちゃーん」と連呼していた。いや、この状況ではむしろ彼らのほうが常識的なのかもしれない。
(まあ、せっかくきたんだから楽しまないと)
 るりは安心したように笑い、桜ちゃんの歌に耳を傾けた。

 …四十分ほどすると桜ちゃんが一度舞台から降りた。プログラムを見ると次の二十分は桜ちゃんとユニットを組んでいる桜の実の妹、梅ちゃんのステージだった。半年前に歌手デビューしたばかりの新人アイドルだ。こぶしのきいた演歌からアニメソングまで歌いますと宣言したことが注目され、わずか半年の間にミリオンセラーをたたき出し、今年の歌合戦に出場するとも囁かれている。
桜ちゃんもいいけど梅ちゃんもナイスバディでかわいいうんたらといずみの友人が言うと、るりの右足が前席の脚にガスっと当たった。
(いかんいかん…つい腹を立ててしまった…)
 慌ててプログラムで顔を隠すと、小さな穴から後ろを振り向く友人の顔がうかがえた。いずみがどうしたのと言ってこちらに振り向く。会場は全体的に暗いもののライトが当たる前の席なので、二人の顔は鮮明に映る。
(いやあ、はやく前を向いて…)
『みんなあ、梅ですっ!今日はありがと~!』
 二人はすぐステージのほうへ視線を戻した。
 一瞬の緊張に心臓をばくばくさせたるりは、会場内の客が総立ちになったのを見計らって一度会場から抜けることにした。
 出口にきた時、ふとなにかを思い出した。
(さっきなんか…違和感があったような…)
 席を立ち、ここまでくる間のことを思い出す。
(うん…なんだろ…?)

(つづく)
プロフィール

いずみ

Author:いずみ
こんにちは。小説などいろいろあります。小説の著作権はこのページの作者に帰属します。
ブログランキングに参加してます。



東大生ブログランキング

最新記事
カテゴリ
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる